霧島で美味しいパンを作る人
探求系、黒田さんは
少しだけハードボイルド
黒田さんのパンはとっても人気。出逢いのパンです。どこに出店するかは黒田さんのSNSで見つけてみてください。パンを一生懸考えて作る愛情の味わいです。
写真はとあるイベントで黒田さんが販売していたサンドイッチ。ジューシーさとかみ応え、満腹感と深い味の余韻。どっしり感とフルーティーさの交わり。「ちょっとブラームスの交響曲みたいだなあ」と、海辺で味わいました。「ブルックナーではないな」。
私が黒田さんのパンの個性を一番感じるのは「ハード系」。しっかりしたかみ応えと味わいが「らしさ」を満喫できて大好きです。
黒田さんが「ハードボイルド」だからではありません。時々、「黒田さんって、ルパン三世の五右衛門みたいだなあ」って雰囲気を感じるときはありますけど。「拙者は、、」などと言わないですし。
ちょっと背中が「しゃんと」する味わい。「真面目に丁寧に作られたパンだなあ」という人柄と優しさが口の中に広がります。
黒田さんは「パンについての知識」ももちろん豊富。お店でのパンの選び方などを伺ったとき「消費者目線」も忘れない姿に感銘を覚えました。
技術と優しさ。「おいしくなければパンではない。やさしくなければ毎日楽しんで貰える資格はない」。なんて、ハードボイルド小説をもじってしまいますが。
自然の宝箱で安らぐ
シャングリラの海 小浜海岸
まっこと心が安らぐ海辺が霧島市にあります。
加治木から国道10号線を北上してすぐの「小浜」の小さな海岸。遠浅の入り江になっていて海水浴場がひとつ。霧島市隼人町小浜はちいさな宝箱です。
細い道をたどって国道から海水浴場に到着。来訪者のトイレなどはここが一番確実なところ。車を止めて散策しました。
階段を数段上るとそこに砂浜が広がっています。
潮だまりには小さな生き物たち。潮の引いた浜で遊ぶ子どもたち。
ヤドカリを捕まえたり、砂洲で「土木工事」にいそしんでいたり。まだ冷たい海水の中を歩き回ったり。砂と海の感触を味わいながら歓声を上げていました。
遊びと学びがゆったりと交わるところです。
遠く桜島が優美な姿です。鹿児島市方向から見る姿とことなる「なでがた」の桜島。海水浴場から右手前方には黒川岬が見えます。温暖なところでレモンの栽培をしている岬。堤防に沿ってのんびり歩いてみました。
実はこの地域、20数年前に他界した私の母の故郷。「ルース台風以前は堤防もなく松林だったよ。風がとても心地よくて夏は林の中で涼んだり、眠ったりもしていたよ」という言葉を思い出しながら歩みを進めます。
国道からの音も遠く聞こえますが静かな世界。潮騒が心地よく響いています。「里」の集落に来ると昔の漁村の風景も残っています。数隻の小さな漁船。
丸い石を積み上げた低い石垣。軒の低い家。道沿いに季節の花。
道幅の狭さや生け垣になぜだか癒やさせるところです。
さらに黒川山に近づくと海岸は岩場に変わります。岩には貝がついています。砂に埋まった石をのけるとかけ出すカニ。小さなシャコの仲間やコハゼも隠れていました。
聞こえる子どもたちの歓声の向こうに古代の「隼人族」の姿を思い浮かべました。
この豊かな海で糧を得て、霧島の山々を駆け豊かに暮らした人々がいたのでしょう。
たくさんの命を育み、子どもたちはここで生命の知識を得て育ってきたことを思いました。
この海岸には海中に積まれたブロックもなく、派手な施設もなく、おおよそ2千年前と変わらず波音が繰り返していました。
この浜は宝を納めたタイムマシーン。これからの時代、「ほんとうに大切」な姿だと思いました。
霧島パン巡り
素敵なパンが人気です。
パンはご飯かな。それともスウィーツかなって品揃えも種類も豊富なパンを見て思えます。色々なシーンにも対応するのが人気の理由かも知れません。
4月12日はパンの記念日。パンの記念日にちなんで、暮らしに寄り添うパンを訪ねてみました。
街にはたくさんのパン屋さんがあります。今回は霧島市のパン屋さんを三軒訪ねました。ひょいと訪問して店頭に並んでいるモノから一番「日常的」なパンを食べ比べてみようという企画。
訪れたのは「リーノ」さん、「オリバー」さん、「パンの木ベーカリー」さん。いずれも地域で人気のお店です。
お店はどこもパンの良い香り。イートインが併設されていたり、屋外ですぐに食べることもできるなど、「普段着な親しみやすさ」も共通項です。
「ほっこりするなあ」というのもどのお店にも感じられたこと。種類は違いますが、基本的に「食事パン」。小麦の味がしっかりしていて、もっちりとした食感や風味が楽しめました。
リーノさんのバケットは霧島産の小麦を使っているのが特徴。風味豊か中のふんわり感。ミルクティーに浸してにこにこしたい味わい。
オリバーさんの「ヴァンガーくるみレーズン」は食感の楽しい皮に始まり滋味たっぷり。コーヒーとパンの朝食でうれしくなりそう。
パンの木さんの「湯だねたもっちり食パン」はふわふわ食感が温かいミルクへの気持ちを誘います。トーストしてマドレーヌも素敵かな。
「毎日食べても飽きない」のがパンの魅力。よく噛むと味の深さが増して、お店の特徴もわかりやすくなってきます。パンの味比べは、一緒に楽しむ飲み物やジャム、バターなどを想起すると案外分かりやすくなるもの。霧島市のパン探訪を楽しんで暮らしに彩りをそえるのはとっても楽しいと思います。
ところで「パンの記念日」。1842年(天保13年)4月12日に日本ではじめてパンが焼かれたことに由来します。
その時代、世界の動きが急激に代わり始め、江戸時代の日本でも「外国の動き」が心配になってきました。パンは持ち運びに便利。保存もご飯より有利。いざという時を考え「パン」に着目したというわけです。
パンは加熱調理しなくてもすぐに食べることができます。パンは便利で美味しくておしゃれ。「有事に有益」ならば健康的な暮らしにいつでも役立つはずですね。
湯に浸かる 春の風に浸かる「仙寿の里」のゆったり時間
やよいのころ、妙見というところを過ぎてある山湯を訪ね入りしに、湯のいづるほかに、つゆ音なうものなし。
昼下がり、真昼でも夕方でもない黄色い光を浴びての湯は、兼好法師の口調をまねたくなりました。
杉林を抜けるとたどり着く牧園町、「仙寿温泉(ラムネ温泉)」は、ほどよい湯温で肌に柔らかく、かすかに春を感じる風がそよぐ温泉でした。開放感あふれる浴場はこれからの季節がより心地よい時を迎えます。
露天ではありませんが、ほぼ露天風呂の気分。というのも湯船の向こう側には壁がないつくりの浴場には春の風がタップリとそよいでくるから。岩ツツジの紫が光に踊っています。
嬉しいのは湯船のまわりのスノコ。木製の板が敷き詰めてあるので、とてもやさしい感触です。段差も少ないので多くの人に喜ばれるつくり。
ちょっと驚くのは、脱衣室と浴場の「仕切り」がないこと。風を心地よく感じるつくり。
湯口では無色透明ですが、湯船はかすかな褐色。この界隈の温泉共通の色を帯びます。「ラムネ温泉」という炭酸の成分が多く、より優しい湯の感触。含有物の多さも魅力の「まったり」した肌触り。化粧水と同様の効果がえられる成分も多く含むので保湿効果も嬉しい湯。飲用の効果も心強い温泉です。
開放的な湯にゆったりと浸かると、日々の憂いもどこか遠くのことに感じられました。入泉料は大人300円。
取材協力;
ラムネ温泉 仙寿の里
鹿児島県霧島市牧園町宿窪田3549
TEL:0995-54-5859